ちょっといい話(東山三十六峰マウンテンマラソン)

それは、2年前の第16回大会での出来事です。
大文字山の下りをスイーパー数人で走っている時、足を引きずっている方をみつけました。
捻挫して、転倒してしまったとのことです。
かなり痛そうで、満足に歩けないほどでした。
そこには、ゼッケンをつけたお友達と思われる選手が寄り添っておられました。
その方に、
「あとは我々がサポートしますから、どうぞレースに戻ってください。」
と言ったのですが、
「人手が足りないでしょうから」
と、日向神社までお手伝いをしてくださいました。
確かに人手が足りないので助かります。
でも、関門の日向神社までは、まだかなり距離があり、その方の制限時間が気になります。
しかも、並大抵のお手伝いではありません。
山道をおんぶしたり、肩をかついだりしながら下りる重労働です。
途中で、
「お友達が大変なことになってしまいましたね。今からレースに戻っても関門時間にはもう間に合いませんね。すみません。」
と話しかけると、
「いえ、友達ではないんです。」
と返答。
「えっ?」
「目の前でひどい転倒をされたので、放っておけなくて。」
とその方。
初めての参加だったこと。
遠くから一人で来られたこと。
とっても楽しみにされていたこと。
など、いろいろなことを話しながらお手伝いをしてくださいました。
そして、関門時間をとっくに過ぎた誰もいない日向神社のエイドに、無事全員たどり着いたあと、その方は自らゼッケンを外し棄権されました。
「また来年走ればいいんですから」
と言って。
翌年、大会事務局はその方を招待しました。
そして、無事完走されました。
お顔もお名前も忘れてしまいましたが、きっと今年も東山を走られたことでしょう。
選手はもちろんのこと、運営に携わる我々もまた感動を味わうことができる大会、それが東山三十六峰マウンテンマラソンです。
今年もきっといろいろなドラマがあったことでしょう。
来年もまた多くの方にご参加いただき、思い出に残る大会になるよう、KTCは全力でみなさんをサポートします。