第1回花背トレラン あるスイーパーと最終ランナー

残り1㎞
スイーパーとしてレースメイクをしてきた彼女は、最終ランナーを後方から励まし続けます。
「ナイスラン!行けますよ!」
それに応えるように、選手は最後の力を振り絞って走り続けます。

制限時間まであと10分
「まだ登りがある。もう間に合わない。」
と何度もくじけそうになる選手を、彼女は時に先導し、励まし続けます。

その頃、フィニッシュゲート付近は、間もなく迎える制限時間を前に、徐々に日が陰り始め、レースの終わりを予感させていました。

まだ帰ってきていない選手はあとひとり。
「タイムオーバーか!」
と思ったそのとき、静まり返った会場にトランシーバーから最終ランナーのポイント通過を告げるコールが。

「最後の選手が間もなく帰ってきます。」
アナウンスに会場から歓声が湧き上がりました。

残り2分
「何とか間に合ってくれ!」
スタッフ全員がフィニッシュゲートに集まります。

残り1分
「来た!」
その選手はゲートの向こうに現れました。
オレンジのスタッフビブを着た数人のスイーパーに壁のように囲まれて。
あまりに眩しい光景に目が釘付けになりました。

制限時間40秒前
最後の力を振り絞りながらレッドカーペットを駆け上がります。

フィニッシュ直前
二人のスイーパーを残して他のスイーパーたちがすっと離れます。
周りの人すべてが祝福の拍手で迎えます。
選手も最高の笑顔で応えます。

そしてフィニッシュ!
タイムは5時間29分32秒
制限時間28秒前
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見事完走です。
すぐそばにはずっと励まし続けたスイーパーの彼女…
目を真っ赤にしながら、選手と喜びを分かち合っています。
それを見た周りのスタッフの目にも…

本来的なスイーパー業務ではないものの、その場の状況に合わせて自らが信じる行動をした彼女、そしてそれを補佐したリーダー。
他のスイーパーも選手を最大限にサポートし、完走を目指す。
周りのスタッフ全員がそれを笑顔で迎える。

目頭が熱くなり、言葉になりません。
最後の最後に、「スマイル」をスローガンに掲げた大会を締めくくるにふさわしいこんなドラマが待っていたとは。

一人のスイーパーと最終ランナー、そして周りを取り囲むスタッフが、この大会のすべてを語ってくれました。

誰かが言います。
「できすぎや!」

そして、ひとりのタイムオーバーも出すことなく午後3時30分に宣言しました。
「これをもちまして第1回山村都市交流の森 花背トレイルランを閉会します!」

ピストル音が山にこだまするなか、第1回大会は幕を閉じたのです。

ご参加いただきました選手のみなさん、ありがとうございました。
朝早くから夜遅くまで働いていただいた交流の森のみなさん、ありがとうごさいました。
そしてスタッフのみなさん、お疲れ様でした!

関わりのあった全ての方に心から感謝申し上げます。

花背トレランの記事はこれにて終了です。
長らくのお付き合いありがとうございました!
次は、来年この花背の地でお会いしましょう(^^)/
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